【実機レビュー】DJI Osmo Pocket 4Pは買いか?1インチ×60mmデュアルカメラを映像クリエイターが徹底検証

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DJIがPocketシリーズを「Vlogカメラ」から次のステージへ進めた

2026年、DJIが投入した「Osmo Pocket 4P」は、Pocketシリーズの歴史の中でもかなり大きな転換点になるカメラだ。

DJIは2026年5月、フランス・カンヌでOsmo Pocket 4Pを披露した。そこには明確なメッセージがある。従来のような「手軽に綺麗なVlogを撮れるカメラ」だけではなく、小型のシネマティック撮影デバイスとしてPocketシリーズを再定義するということだ。


DJI Osmo Pocket 4P Vlogコンボのパッケージ。
デュアルカメラを搭載した特徴的なジンバルヘッドが大きく描かれている。

パッケージを見ても、これまでのPocketシリーズとは明らかに違う。

ジンバルヘッドには上下2つのレンズが配置され、正面から見ると一目で「何かが変わった」と分かる。今回RE EARTH TV編集部が使用したのは、各種アクセサリーをまとめたOsmo Pocket 4P Vlogコンボだ。

DJI公式ストアでの販売価格は113,300円。スタンダードコンボの99,000円に対し14,300円高いが、この差額にはOsmo FrameTap、補助ライト、DJI Mic Mini 2、ミニ三脚、各種収納用品などが含まれている。単に付属品が増えただけではなく、購入した状態から一人ロケ・Vlog・インタビュー・商品撮影まで組めるパッケージになっているところがポイントだ。

最大の進化は「20mm+60mm」。デジタルズームではない本物のデュアルカメラ

Osmo Pocket 4P最大の特徴となるデュアルカメラ。
下側には「1-INCH」の表記も確認できる。

Osmo Pocket 4Pを語るうえで避けて通れないのが、このデュアルレンズだ。

広角カメラは35mm判換算20mm、F2.0、新1インチCMOS。その上に配置された中望遠カメラは60mm、F1.8、1/1.28インチCMOSを搭載している。

重要なのは、60mm側が20mm映像からのデジタルクロップではないということだ。

専用のレンズと専用センサーを持つ、物理的に独立した中望遠カメラである。 DJIも2つのカメラを同時撮影して合成する方式ではなく、ズーム倍率に応じて20mm側と60mm側を切り替える構成であることを明らかにしている。

Osmo Pocket 4P正面。
2つのカメラを搭載しながら、Pocketシリーズらしい縦長のボディを維持している。

これが映像制作では非常に大きい。

従来のPocket系カメラは広角を基準にしているため、人物へ寄ろうとすると撮影者自身が近づく必要があった。ロケ現場、イベント、店舗取材では、それができない場面が意外に多い。

60mmがあると、背景を圧縮した人物カット、自然なバストアップ、料理や商品のディテール、ステージ上の人物、遠景の切り取りといったカットを、カメラを交換せずそのまま撮れる。

DJIによれば60mm側はF1.8で、人物撮影時には20mmより自然な背景ボケと遠近感を得やすい。動画では最大12倍までズームできる。

Pocket 4Pが「4P」として別ラインに置かれている理由は、まさにここだろう。
20mmで“場所を見せ”、60mmで“人を見せる”。

この2つを1本のジンバルカメラで完結できることこそ、映像制作者にとって最大のアップデートだ。

1インチCMOS+LOFIC。広角側は最大17ストップの世界へ

広角側には新しい1インチCMOSが搭載されており、LOFIC技術との組み合わせで、D-Log 2使用時に最大17ストップのダイナミックレンジを実現する。DJIは発売時点で、同社コンシューマーカメラ用Logプロファイルとして最大のダイナミックレンジ性能としている。

これはスペック表の数字だけで判断するより、

「窓の外と室内を同時に残したい」
「夕景の空を飛ばさず人物の顔も拾いたい」
「祭りやイベントで照明と観客席を同時に撮りたい」

といった現場を想像すると分かりやすい。

RE EARTH TVのようにイベント撮影、地域ロケ、ドキュメンタリー、YouTubeコンテンツまで幅広く扱う場合、撮影時に完璧な照明環境を作れるケースの方が少ない。

だからこそ、小型カメラほどダイナミックレンジの余裕は重要になる。

Pocket 4P/Pocket 4/Pocket 3を比較

DJI公式情報をもとに主要な違いを整理した。

項目Osmo Pocket 4POsmo Pocket 4Osmo Pocket 3
撮像素子広角:新1インチCMOS
中望遠:新1/1.28インチCMOS
新1インチCMOS1インチCMOS
レンズ20mm F2.0
60mm F1.8
20mm F2.020mm F2.0
最大ダイナミックレンジ17ストップ14ストップ12.5ストップ
最大スローモーション広角:4K/240fps
中望遠:4K/200fps
4K/240fps4K/120fps
内蔵ストレージ103GB107GBなし
最大動作時間210分240分166分
画面2インチOLED2インチOLED2インチOLED
特徴20mm+60mm物理デュアルカメラ1インチ単眼モデル従来型1インチPocket

ここを見るとPocket 4Pの立ち位置がかなり分かりやすい。

単純に「Pocket 4より高性能」というより、Pocket 4はシンプルな20mm単焦点型、Pocket 4Pは複数焦点距離を一本で扱う映像制作型と考えた方がいい。

2インチOLED+物理操作。タッチだけに頼らないのが良い

回転式ディスプレイを閉じた状態のOsmo Pocket 4P。
側面には「POCKET 4P」のロゴが入る。

本体には2インチOLEDを搭載する。

画面は回転式で、横向き・縦向きを切り替えながら撮影できる。
その下には新しい物理ボタン群と5Dジョイスティックが配置されている。

片手で保持したOsmo Pocket 4P。
5Dジョイスティックと録画ボタンを親指で操作しやすい配置となっている。
5Dジョイスティックを使えば、撮影中でもジンバルや各種機能を物理操作できる。

特に編集部として評価したいのは、主要操作をタッチパネルだけに依存していないことだ。

左側のズームボタンを1回押すと1倍と3倍を切り替え、2回押しで6倍へ。
長押しではスムーズなズーム操作ができる。

右側のカスタムボタンには、撮影モード切り替え、C1/C2、ジンバル反転、再センタリング、ジンバルロック、補助ライトなどを割り当てられる。

イベント撮影では、タッチパネルを何回もスワイプして設定を探している時間はない。
「押せば切り替わる」という物理操作は、実戦になるほど価値が大きい。

microSDを忘れても撮れる。103GBの内蔵ストレージ

ストレージ設定画面。
編集部の実機では約103GBの内部ストレージを確認できた。

Pocket 4Pには103GBの内蔵ストレージが用意されている。

撮影機材を何台も扱っていると、「SDカードをPCに差したままだった」という事故は一度くらい経験したことがあるのではないだろうか。

Pocket 4Pならカードがなくても本体だけで撮影を開始できる。

メモリーカードを使用することで、内蔵ストレージと組み合わせた長時間撮影にも対応できる。

もちろんmicroSDも使用できるため、内蔵ストレージを緊急用に残しておくという運用も可能だ。

サブカメラとしてバッグへ常備するカメラとの相性はかなり良い。

4K/60fpsは日常撮影の主力。さらに4K/240fpsへ

動画撮影では4K/60fpsなどを本体画面から直接選択可能。

通常撮影では4K/60fpsなどを選択でき、より高速な映像が必要ならスローモーションモードへ移行する。

広角側は最大4K/240fpsまで対応する。

通常速度の映像に加え、水しぶき、スポーツ、祭りの踊り、太鼓、料理、製品の動き、車両などを大幅に減速したインサートとして使える。
ポケットカメラでありながら、スローモーション専用カットを別カメラで撮る必要性をかなり減らせるスペックになった。

クリエイターにとって最大の注目点「D-Log 2」

D-Log 2 10bitにも対応。Pocket 4Pを本格的な映像制作へ組み込みたいユーザーが注目したい設定だ。

カラーモードにはNormal 10bitに加えてD-Log系の設定が用意されており、Pocket 4Pでは新しい10-bit D-Log 2が大きな売りになっている。

10-bitで10億色以上を扱い、広角カメラでは最大17ストップのダイナミックレンジを生かしたカラーグレーディングが可能だ。
DaVinci Resolveなどで本格的にカラーを作るユーザーにとって、PocketシリーズをメインカメラやシネマカメラのBカメラとして使いやすくする重要な進化だ。

ただし、ここには非常に重要な注意点がある。

10-bit D-Log 2を利用できるのは1倍、つまり20mm広角カメラのみ。
60mm中望遠側までD-Log 2で統一できるわけではない。

ここは映像制作者なら購入前に把握しておきたいポイントだ。

とはいえ、メインとなる広角カメラで最大17ストップのLog撮影ができる意味はかなり大きい。

ホワイトバランスも本格的。オートだけのVlogカメラではない

Pocket 4Pではホワイトバランスをマニュアル設定可能。
今回確認した範囲では2000Kから10000Kまで幅広く変更できた。

複数台カメラで撮影するとき、AWB任せにするとカットごとに色温度が変化し、編集時のカラー合わせが面倒になる。
ミラーレスカメラ、シネマカメラ、業務用カムコーダーなどと併用するなら、Pocket側も5600Kなどに固定して撮る方が後工程は圧倒的に楽になる。

このあたりは、もはや「スマホ感覚で撮るだけのカメラ」ではない。

フォーカスブリージング補正など、映像制作向け設定も充実

Pro設定には露出、WB、カラー、フォーカスに加え、ブリージング補正や映像調整などが用意されている。

AFはシングルと連続のほか、製品展示モード、被写体ロックトラッキング、登録した被写体を優先するモードなどを搭載する。

YouTubeの商品レビューを撮るなら「製品展示モード」は特に相性が良い。

顔を撮影している状態から商品をレンズ前へ出したとき、手前の商品へ素早くフォーカスを移したいというレビュー動画特有の撮影にも対応しやすい。

低照度モードもワンタッチ

暗所撮影で活用できる「低照度」モードも本体から素早く選択できる。

夜の街、イルミネーション、屋内イベントなどでは「低照度」撮影モードを利用できる。

広角側に新1インチCMOSを採用しているため、Pocket 4Pは暗所撮影そのものを大きなテーマとしている。DJIも低照度環境での画質改善を製品訴求の一つに挙げている。

機材を大きくできない夜間ロケで、ジンバル+1インチCMOS+高速AFをポケットサイズで持ち歩けるメリットは大きい。

ActiveTrack 8.0。ついに12倍ズームでも追える

複数人物トラッキングに対応。複数人が登場するVlogやグループ撮影でも活用できる。

複数人物トラッキングでは最大8人までを認識し、複数人が画面へ入った場合も構図を調整する。

「スポットライトフォロー」では特定の被写体を優先して追従させられる。

スポットライトフォローでは特定の人物を中心に追い続けることができる。

Pocket 4PのActiveTrack 8.0は、通常撮影では最大12倍ズーム時でも被写体追従に対応する。
これは60mmレンズを搭載したPocket 4Pだからこそ価値が増す機能だ。

たとえばステージ撮影で出演者を追う、イベント会場の離れた位置から人物を追う、といった運用が現実的になる。

なお、複数人物トラッキング使用中はズームできない点には注意したい。

ジンバルを「構図を作る道具」として使う

ダイナミックフレーミングを搭載。
ジンバルを活かした動きのある構図づくりを自動化できる。

ダイナミックフレーミング。

「スピンショット90°」ではジンバルを90度回転させた印象的なカメラワークを生成できる。

90°スピンショット。

「スピンショット180°」にも対応。
ワンタッチでダイナミックな回転映像を撮影できる。

180°スピンショット。

Pocketシリーズの面白さは、単に手ブレを消すだけではない。
モーター制御されたジンバルそのものをカメラワークの一部として利用できる

スマホ+電子手ブレ補正では再現しにくい、有機的なカメラワークを本体だけで作れるのは機械式3軸ジンバルならではだ。

音声設定も“おまけ”ではない

映像だけでなく音声収録にも細かな設定項目が用意されている。

本体側ではステレオ収録、風ノイズ低減、指向性オーディオ、ボーカルブースト、オーディオズームなどを設定できる。

さらにVlogコンボにはDJI Mic Mini 2トランスミッターが付属。

Mic Mini 2は約11gで、対応するOsmo製品ならレシーバーなしでOsmoAudio接続でき、48kHz/24bit音声を直接収録可能。2段階ノイズキャンセリングやクリッピング抑制機能も備えている。

映像がいくら綺麗でも、声が聞き取りにくいVlogは完成度が一気に落ちる。

その意味でVlogコンボは映像と音声を最初からワンセットにしている

写真はJPEG+RAWにも対応

静止画ではJPEG+RAW記録を選択可能。
動画だけでなく写真撮影にも対応する。

動画機として注目されがちなPocket 4Pだが、写真ではJPEG+RAWを選択できる。

60mm中望遠が追加されたことによって、静止画でも人物・料理・商品・スナップなどの撮影自由度が大きく上がった。

「動画撮影のついでに写真も残す」という現場では、別のスチルカメラを出さなくても済むシーンが増えるだろう。

ここは購入前に知っておきたい

スペックだけを見るとほぼ万能に見えるOsmo Pocket 4Pだが、映像制作目線では注意点もある。

まず、本体重量は約230g。Pocketという名前ではあるものの、デュアルカメラ化したヘッド部分はそれなりに存在感がある。

そして先述した通り、最大17ストップを引き出すD-Log 2 10-bitは1倍広角側限定
60mm中望遠まで同一Logで運用したい撮影では考慮が必要だ。

一方で、この制約を理解した上で使えば、Pocket 4Pの利点は非常に明確になる。
交換レンズを持ち歩かず20mmと60mmを切り替えられ、3軸ジンバル、AF、トラッキング、ワイヤレス音声、Log撮影まで一つにまとめられる。

この機動力は、大型カメラには真似しにくい。

RE EARTH TV編集部の結論

Osmo Pocket 4Pは、スマートフォンの代わりとして考えると高価なカメラだ。

しかし、映像制作機材として見ると評価はまったく変わってくる。

・20mm相当の1インチ広角カメラ。
・60mm相当F1.8の独立した中望遠カメラ。
・最大17ストップのD-Log 2。
・4K/240fps。
・3軸メカニカルジンバル。
・ActiveTrack 8.0。
・103GB内蔵ストレージ。
そしてVlogコンボなら、マイク、照明、リモートモニターまで加わる。

一眼・シネマカメラの画質を完全に置き換えるためのカメラではない。

むしろ価値があるのは、

「大きなカメラを構える前に撮れる」
「大型機材では入りにくい場所へ持ち込める」
「予定していなかった瞬間を作品として残せる」

という部分だ。

RE EARTH TV編集部として特に魅力を感じるのは、60mm中望遠の追加によって“記録用Vlogカメラ”から“画を作るカメラ”へ一段踏み込んだことだ。

広角だけでは作れなかったカットが撮れる。

その一点だけでも、Pocket 4Pは従来モデルとは明確に違う。
日常を撮るPocketから、作品を撮るPocketへ。

Osmo Pocket 4Pは、その転換点になる一台と言えそうだ。

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RE EARTH TV編集部

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