- 2026年5月21日
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アドビは2026年9月25日、GoogleのAIアシスタント「Gemini」向けに、新たなAdobeコネクターの提供を開始した。
これによりGeminiとの会話から、Adobe Photoshop、Adobe Lightroom、Adobe Express、Adobe Fireflyの機能を直接呼び出し、写真の補正やデザイン制作などを行えるようになる。
従来のように「Geminiでアイデアを考える→Photoshopを起動する→Lightroomで補正する」と複数のアプリを行き来するのではなく、「こう仕上げたい」と自然言語で伝えるところからAdobeのクリエイティブツールにつなげられるのが大きな特徴だ。

今回提供が始まった「Adobe for Google Gemini」は、GeminiとAdobe Creative Cloudの機能を接続するコネクターだ。
対応する主なAdobe製品は、
・Adobe Photoshop
・Adobe Lightroom
・Adobe Express
・Adobe Firefly
の4つ。
ユーザーはGemini上で作りたいものや編集したい内容を文章で伝えるだけで、Adobe側が目的に応じたツールや処理を組み合わせて実行する。
たとえば、
「この商品写真10枚の明るさと色味を統一して」
「ECサイト用にすべて同じ比率へクロップして」
「この写真をInstagram用とLinkedIn用にサイズ変更して」
といった指示をGeminiとの会話から行える。
PhotoshopやLightroomの操作方法そのものを覚えていなくても、「完成形」を言葉で伝えることでAdobeの機能を利用できるというわけだ。

特にクリエイターにとって実用性が高そうなのが、写真の一括編集だ。
Adobeによると、Geminiへ複数の画像をアップロードし、希望する仕上がりを指示することで、
・明るさ
・色
・トーン
・クロップ
などを複数の写真へまとめて適用できる。
たとえば商品レビュー用に30枚撮影した写真のホワイトバランスや明るさを揃えたい場合、従来であればLightroomに写真を読み込み、基準となる写真を補正してから設定を同期するといった工程が必要だった。
Adobe for Geminiでは、こうした処理に対して、
「この写真をすべて同じ明るさと色味に揃えて」
と指示するようなワークフローが可能になる。
AIがクリエイティブそのものを完全自動化するというよりも、これまで人間がアプリを切り替えながら行っていた定型作業を、自然言語からまとめて実行できるようになるという位置付けに近い。
SNS向けコンテンツ制作にも活用できる。
Adobe for Geminiでは、1枚の画像やデザインから、Instagram、Facebook、LinkedInなど各SNS向けのバリエーションを生成できる。
Adobeは、
「1つのデザインを各SNS向けに変換する」
「複数のSNS向けサイズへ一括リサイズする」
といったワークフローを例として挙げている。
YouTubeのサムネイルを制作したあと、同じ素材からInstagramストーリーズ、Threads、Xなどの告知素材を作るといった運用でも活用できそうだ。
特に企業SNSやメディア運営では、同じキャンペーン素材を複数フォーマットへ展開する作業が日常的に発生する。
「制作」よりも、その後の“展開作業”をAIへ任せられることが今回の連携の強みのひとつといえる。
Adobe Expressとの連携では、テンプレートを使ったデザイン制作にも対応する。
キャンペーン内容やターゲット、希望するデザインの雰囲気をGeminiへ伝えると、Adobe Expressのテンプレートを利用してデザインを制作可能。
そこから、
・テキスト
・画像
・カラー
などを変更できる。
Instagramストーリーズの作成やセール告知用フライヤーなども、Geminiとの会話から制作できる。アニメーションの追加やPDFへの書き出しにも対応する。
デザインソフトを直接操作することに慣れていないユーザーでも、「何を作りたいか」を起点として制作できることになる。
Adobe for Geminiは単なる画像生成・編集ツールではない。
Adobeの公式ヘルプでは、Creative Cloud上のコンテンツを検索、整理、要約する機能にも対応すると説明している。
Creative Cloud上に大量の写真やデザインデータを保管している場合、目的の素材を探す作業にもAIを利用できることになる。
制作現場では「素材を作る時間」以上に、
「前に使ったロゴはどこにあるか」
「この案件の写真はどれだったか」
といったファイル探索に時間を取られることも少なくない。
Adobeのコネクター構想が進めば、AIがCreative Cloud内のアセットと制作ツールの間に入る“窓口”になる可能性もある。

今回の発表について、「GeminiからPhotoshopを操作できる」と聞くと、デスクトップ版Photoshopの画面をAIが直接操作し、メニューやレイヤーを自由に触れるようなものを想像するかもしれない。
しかし、現時点では少し意味が異なる。
Geminiがデスクトップ版Photoshopそのものを遠隔操作するのではなく、Adobeコネクターを通じて、Gemini内から対応するAdobeの機能を呼び出す仕組みだ。
Adobeも、現時点で利用できる機能は限定されており、今後さらに作成・編集機能を拡大するとしている。
つまり今回のリリースは、PhotoshopやLightroomのすべての操作をGeminiから完全に再現するものではない。
ただし、写真補正や一括処理、SNS展開など日常的に発生する作業を自然言語から実行できるようになることで、Adobeアプリを操作するという従来のワークフローそのものが変化する可能性がある。
今回のAdobe連携でもうひとつ重要なのが、ユーザーが必ずしも、
「Photoshopの○○機能を使って」
「Lightroomで○○を調整して」
と具体的なAdobeアプリや機能名を指定する必要がない点だ。
Adobeによると、ユーザーが希望する結果を説明すると、Adobe側が適切なツールと手順を選択し、処理を組み立てる。
つまり、
「ツールを選んで操作する」
という従来のアプリケーション中心の考え方から、
「完成形を指示して、AIが必要なツールを選ぶ」
という考え方へ変わり始めている。
これは単なるUI変更以上に大きな変化だ。
これまでクリエイティブソフトの習得では、「どの機能を使えば目的を達成できるか」を覚えることが重要だった。
AIエージェント型のワークフローでは、人間側は完成形や意図を伝え、ソフトウェア側が実行方法を判断するようになる。
写真や映像制作の現場から見ると、今回のAdobe×Gemini連携は非常に興味深い。
たとえば商品撮影の場合、
撮影
↓
写真選定
↓
ホワイトバランス調整
↓
明るさ調整
↓
クロップ
↓
Web用サイズへ書き出し
↓
SNS別にリサイズ
という複数の工程が発生する。
今回のAdobeコネクターでは、そのうち定型化しやすい工程をGeminiとの会話からまとめて処理できる可能性がある。
一方で、
どの写真を使うのか。
どの色がブランドに合うのか。
どこまで補正するのか。
どの写真が最も商品を魅力的に見せるのか。
といった最終的な判断は依然としてクリエイター側に残る。
AIによってクリエイターが不要になるというより、ソフトウェアを操作する時間を減らし、その分「何を作るか」「どれを選ぶか」という判断へ時間を使えるようになる方向性と見るほうが近いだろう。
Adobeの発表によると、Gemini向けAdobeコネクターは2026年9月25日から世界各国で順次提供を開始し、すべてのGeminiプランで利用可能となる。
利用にはGeminiアカウントに加え、Adobeアカウントが必要。
Adobeアカウントを持っていない場合でも無料アカウントを作成できる。
利用方法はGeminiの設定からAdobeを接続し、Adobeアカウントでサインイン。その後Geminiの入力欄で、
「@Adobe」
を指定して会話を開始する。
Googleも2026年9月23日、Geminiの「Connected Apps」を拡大し、クリエイティブカテゴリーにAdobeなどを追加すると発表している。
一方、日本のユーザーが利用するうえで注意しておきたい点もある。
Adobeの公式ヘルプによると、Adobe for Google Geminiは世界各国で提供されるものの、現時点で対応言語は英語のみとなっている。
日本でもサービス自体は提供対象だが、記事執筆時点では日本語でのAdobeコネクター利用には制限がある。
今後対応言語が拡大されれば、日本のクリエイターにとっても利用しやすさは大きく向上しそうだ。
AdobeはすでにChatGPT、Claude、SlackなどにもAdobeコネクターを展開しており、今回Geminiが新たに加わった。
同日にはClaude向けAdobeプラグインもアップデートされ、Acrobat、Express、Photoshop、Illustrator、Premiere、Lightroom、InDesign、Adobe Stockなど、80種類以上のAdobeツールをClaudeとの会話から呼び出せるようになっている。
これはAdobeが、PhotoshopやPremiere Proといった単体アプリだけではなく、ChatGPTやGemini、ClaudeなどのAIチャットそのものをAdobe製品への新しい入口として捉え始めていることを示している。
ユーザーがどのアプリを起動するかではなく、
「何を作りたいか」
をAIへ伝えれば、必要なAdobeツールが裏側で動く。
クリエイティブソフトとAIアシスタントの関係は、2026年に入り大きく変わり始めている。
今回のAdobe×Gemini連携は、PhotoshopやLightroomに新しいAI機能がひとつ追加された、というだけのアップデートではない。
これまでアプリを起動し、ツールを選び、パラメーターを調整していた作業の一部を、「こうしてほしい」という自然言語から実行できるようになる。
特に大量の商品写真の補正やSNS素材への展開など、同じ処理を繰り返す制作現場では効果が大きそうだ。
現時点では対応機能や言語に制限があり、PhotoshopやLightroomのすべての作業をGeminiに任せられるわけではない。
しかしAdobeは、今後さらにGeminiで利用できる作成・編集機能を追加するとしている。
これまでクリエイティブ制作では、
Photoshopを使える人
Lightroomを使える人
Premiere Proを使える人
というように、アプリケーションを操作するスキルが大きな意味を持っていた。
そこへAIエージェントが加わることで、今後は、
「何を作りたいのかを正確に伝えられること」
「AIが作った結果を判断できること」
「最後の品質を人間がコントロールできること」
の重要性がさらに高まっていきそうだ。
AdobeとGeminiの連携は、クリエイティブツールの操作そのものをAIとの対話へ置き換えていく、大きな一歩といえる。
本記事は、RE EARTH TV編集部がメーカー公式サイト、公式発表、取材内容などの情報をもとに制作しています。
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