- 2026年4月17日
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※本記事はChitu Systemsから製品の無償提供を受けて制作したレビュー記事です。
3Dプリンターの造形品質を左右する要素の一つが、フィラメントの湿気対策だ。
フィラメントは保管環境や素材によって水分を吸収し、糸引きや表面の荒れ、押出不良などを引き起こすことがある。3Dプリンター本体の性能が高くても、材料の状態によって仕上がりが左右される点は見逃せない。
今回レビューするのは、Chitu Systemsのフィラメント乾燥機「FilaPartner E1」。最大4本のフィラメントを同時に収納・乾燥できるほか、2つの独立した乾燥チャンバーや湿度管理機能を搭載する。
実際にBambu Lab「A1 mini」と組み合わせ、約1か月放置したフィラメントを使用した造形比較を実施。製品の構造や操作性、乾燥・保管機能、3Dプリントの仕上がりに注目して検証した。

FilaPartner E1は、3Dプリンター用フィラメントの乾燥・保管・供給を1台で行えるフィラメントドライヤーだ。
最大の特徴は、2本ずつ収納できる乾燥チャンバーを2基搭載し、それぞれ異なる温度で乾燥できること。
一般的な1本用フィラメントドライヤーとは異なり、複数のフィラメントをまとめて管理できるだけでなく、PLAとPETGなど、異なる乾燥条件の素材を並行して扱える。
加熱方式にはPTCヒーターを採用し、メーカー公式製品ページでは45〜70℃の温度設定に対応すると案内している。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | FilaPartner E1 |
| メーカー | Chitu Systems |
| 最大収納本数 | 4本(各チャンバー2本) |
| 乾燥チャンバー | 2室・独立温度制御 |
| 乾燥温度 | 45〜70℃(公式製品ページ記載) |
| 加熱方式 | PTCヒーター |
| 定格消費電力 | 240W |
| 操作画面 | 3.5インチ感圧式タッチスクリーン |
| 湿度管理 | 湿度表示・自動乾燥制御 |
| 対応素材例 | PLA、PETG、TPU、ABS、ASA、PAなど |
| 本体サイズ | 約346×234×257mm |
| 重量 | 約3.2kg |
※仕様はメーカー公開資料に基づく。乾燥温度と時間はフィラメントの種類・銘柄によって異なる。

FilaPartner E1では、2つの乾燥チャンバーにそれぞれ最大2本のフィラメントを収納できる。
合計4本を同時に乾燥できるため、複数の色や素材を使い分けるユーザーに適した構造となっている。
各チャンバーには独立したPTCヒーターが搭載されており、片方ではPLA、もう片方ではPETGというように、異なる温度条件を同時に設定することが可能だ。
ただし、温度制御はチャンバー単位で行う仕組みであり、4本のフィラメントをそれぞれ別々の温度に設定できるわけではない。

実機を確認すると、スプールはチャンバー内部のローラーに載せる構造となっている。
透明カバーを開けるだけでフィラメントを交換でき、収納状態でも残量を目視で確認しやすい。
1kgの標準的なスプールを収納できる一方、特殊な幅や直径のスプールについては、事前にサイズを確認する必要がある。

また、2つのチャンバーを常に同時加熱する必要はない。
1〜2本だけを乾燥する場合は片側だけを稼働させられるため、使用するフィラメントの本数に応じた運用ができる。

FilaPartner E1が一般的なフィラメントドライヤーと異なるのは、乾燥チャンバーをベースユニットから取り外せる点だ。
乾燥後はチャンバーごと取り外し、フィラメントの保管ボックスとして使用できる。
複数のフィラメントを所有する場合、乾燥機からスプールを取り出し、別の密閉容器に移す作業が発生しがちだ。本製品では、この手間を抑えられる。

各チャンバーにはシリカゲル乾燥剤を配置できる。
メーカーによると、乾燥運転時の温風を利用して乾燥剤を再生する仕組みを採用しており、繰り返し使用できるという。

また、チャンバーには湿度インジケーターが設けられ、電源を入れていない保管状態でも、内部の湿度を色の変化によって確認できる。

チャンバー底面には、マグネット式の遮断パネルが用意されている。
乾燥運転時には温風が循環できるよう通気口を開け、保管時にはパネルを取り付けて密閉性を高める仕組みだ。
乾燥と保管の両方に対応する一方、運転時と保管時にはパネルの配置を切り替える必要がある。
日常的な使い勝手を考えると、この操作は覚えておきたいポイントだ。

操作には3.5インチの感圧式タッチスクリーンを採用する。
画面から乾燥温度や時間を設定できるほか、素材別の推奨条件も参照可能だ。
実際の操作画面では、PLA/PETG、ABS/TPU/ASA、PA/PC/HIPSなどの素材グループが用意され、温度と時間が表示されている。
ただし、画面の推奨値はあくまで参考値。
公式製品ページの推奨条件と異なる項目もあるため、最終的には使用するフィラメントメーカーが指定する乾燥条件を優先したい。

設定した温度と時間は、最大4種類のカスタムプリセットとして保存できる。
毎回同じ素材を乾燥する場合、設定を呼び出すだけで済むため便利だ。

乾燥中は現在温度や湿度、残り時間などを確認できる。
さらに、メーカーが案内する自動乾燥モードでは、内部湿度が50%を超えると乾燥を開始し、25%を下回ると停止する制御にも対応する。
ただし、画面に表示される湿度はチャンバー内の空気の状態であり、フィラメントそのものの含水率を直接測定したものではない。

今回の検証には、Bambu LabのコンパクトなFDM方式3Dプリンター「A1 mini」を使用した。
FilaPartner E1は、乾燥したフィラメントを取り出してから印刷するだけでなく、乾燥機に収納した状態のまま3Dプリンターへ供給する「Print-While-Drying」に対応している。
これにより、印刷のたびにスプールを取り出す必要がなく、周囲の空気に触れる時間を減らせる。

各チャンバーには複数のフィラメント出口が設けられており、プリンターの設置場所に合わせて取り回しを調整できる。
ただし、接続時にはPTFEチューブが過度に曲がらないように配置し、フィラメントがスムーズに引き出される状態を確保することが重要だ。
ここで注意したいのが、FilaPartner E1とBambu Labの「AMS lite」の違いだ。
FilaPartner E1は、フィラメントの乾燥・保管・供給を目的とした製品であり、AMS liteのようにフィラメントを自動で切り替える機能は搭載していない。
A1 miniのツールヘッドには4つのフィラメント挿入口があるが、これらは自動的に4色を選択する独立した供給機構ではない。
したがって、FilaPartner E1だけを導入しても、A1 miniで4色の自動多色印刷が可能になるわけではない。
一方、メーカーはAMS liteとの併用にも対応すると案内している。自動多色印刷を行う場合は、別途AMS liteなどの適切な供給システムが必要になる。

今回の検証では、約1か月放置したフィラメントを使用し、Bambu Lab A1 miniで造形テストを行った。
使用したのは、3Dプリンターの造形精度を確認するためのベンチマークモデルとして知られる「3DBenchy」。船体の曲面や窓、屋根、細いパーツなどがあり、積層状態や糸引きの違いを確認しやすい。
フィラメントには、ELEGOOのマットPLAを使用した。

乾燥前の造形物を見ると、船体表面の積層が不均一な部分や、窓周辺などに残った細い糸状の樹脂が確認できる。
屋根付近にも粗さが見られ、全体として表面の仕上がりが安定していない印象だ。
こうした現象はフィラメントの吸湿によって発生することがあるが、ノズル温度やリトラクション設定、冷却条件など、湿気以外の要因も関係する。

乾燥後の造形物では、船体側面の積層が比較的整い、乾燥前に見られた表面の荒れが軽減されているように見える。
また、細部の仕上がりにも違いが確認できた。

比較写真では、左側の造形物に見られる表面の粗さや糸引きが、右側では軽減されていることが確認できる。
今回の結果からは、フィラメントを乾燥させることで造形状態が改善する可能性がうかがえる。
ただし、今回の写真比較だけで、すべての変化が乾燥によるものと断定することはできない。また、乾燥効果は素材の種類や保管環境、もともとの含水状態によっても変化する。
フィラメントドライヤーを使えば必ず造形品質が向上するというわけではないが、吸湿が疑われる場合には、印刷条件を見直す前に材料の状態を整えることも有効な選択肢となる。
FilaPartner E1の魅力は、単にフィラメントを4本まとめて加熱できることではない。
特に評価したいのは、乾燥・保管・プリンターへの供給までを一つの運用にまとめられる点だ。
2室独立制御により、異なる素材を同時に扱えるのは大きなメリットだ。
使用する素材に合わせて片側だけを加熱できるため、1本用ドライヤーを複数台並べる方法とは異なる使い方ができる。
また、取り外したチャンバーを保管容器として利用できるため、フィラメントの管理方法を整理しやすい。
タッチスクリーンには、温度・湿度・時間などの情報がまとめて表示される。
素材別の推奨設定やカスタムプリセットも用意されており、乾燥条件の設定に迷いにくい構成だ。
一方、乾燥条件の正確な判断にはフィラメントメーカーの推奨情報を確認する必要がある。特に高温乾燥では、素材やスプール自体の耐熱性にも注意したい。
最大4本を収納できることもあり、コンパクトな1本用フィラメントドライヤーと比較すると設置スペースは大きい。
A1 miniのような小型プリンターと並べる場合には、乾燥機本体だけでなく、カバーの開閉スペースやPTFEチューブの取り回しも考慮したい。
さらに、乾燥機能の上限温度は70℃のため、より高温での乾燥を必要とする特殊素材には向かない場合がある。
FilaPartner E1は、複数のフィラメントを所有し、保管環境や造形品質にこだわりたいユーザーに適した製品だ。
特に、PLAやPETGなどを使い分けるユーザー、複数のスプールをまとめて乾燥させたいユーザー、Bambu Lab A1 miniなどにフィラメントを直接供給したいユーザーにとって、導入を検討する価値がある。
一方、常に1本のフィラメントしか使用しない場合や、設置スペースを最優先する場合には、小型のフィラメントドライヤーも選択肢となる。
また、多色印刷の自動化を目的とする場合、FilaPartner E1はAMS liteなどの代替機ではないことを理解しておく必要がある。

Chitu SystemsのFilaPartner E1は、最大4本の同時乾燥、2室独立温度制御、取り外し可能な保管チャンバーを組み合わせたフィラメントドライヤーだ。
今回、Bambu Lab A1 miniと組み合わせて使用したことで、乾燥機からフィラメントを直接供給できる利便性に加え、保管状態を管理する重要性も確認できた。
約1か月放置したフィラメントによる3DBenchyの造形比較でも、乾燥前後で表面の仕上がりに違いが見られた。
3Dプリンターの造形品質を追求するうえで、ノズル温度や印刷速度などの設定だけでなく、フィラメントそのものの状態を管理することも重要だ。
FilaPartner E1は、フィラメントドライヤーを単なる乾燥機ではなく、日常的な材料管理システムとして活用したいユーザーにとって、有力な選択肢になるだろう。
Chitu Systems FilaPartner E1
本記事は、RE EARTH TV編集部がメーカー公式サイト、公式発表、取材内容などの情報をもとに制作しています。
掲載内容は、記事の公開日または最終更新日時点で確認できた情報をもとにしています。
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