【Blackmagic Designが36製品を値上げ】ATEM Miniは最大約55%上昇!AI需要によるメモリー高騰が直撃

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映像制作機器メーカーのBlackmagic Designは2026年10月20日、ライブプロダクションスイッチャーやレコーダー、ネットワークストレージなど計36製品の価格改定を発表した。

値上げの理由は、世界的なDRAM、フラッシュメモリー、SSDストレージの価格高騰だ。AIデータセンター向けの需要拡大に伴い、半導体メーカーが生産能力をAI関連市場へ振り向けていることが背景にあるという。

今回の改定では、ライブ配信現場で広く使用される「ATEM Mini Pro」が310ドルから395ドルへ、「ATEM Mini Extreme ISO G2」は1,995ドルから3,090ドルへと約55%値上げされた。

さらに、放送設備向けの「ATEM 4 M/E Constellation IP Plus」では、6,965ドルもの値上げが実施されている。

新価格は世界各国の正規販売店で即時適用され、既存の受注残については従来価格が維持される。

映像制作会社やライブ配信事業者にとって、今後の設備投資計画にも影響を及ぼす価格改定となりそうだ。

Blackmagic Design、36製品の価格を改定。原因はAIデータセンター需要

Blackmagic Designが今回の値上げに踏み切った背景には、世界的なメモリー供給不足がある。

同社のグラント・ペティCEOによると、製品に搭載されるDRAM、フラッシュメモリー、SSDなどの価格は、過去1年間で数倍に上昇したという。

主な原因として挙げられているのが、AIデータセンター向けのメモリー需要の急拡大だ。

生成AIの学習や推論を支えるデータセンターでは、大量のメモリーやストレージが必要となる。こうした需要に対応するため、メモリーメーカーが生産能力をAI関連市場に振り向けており、一般的な電子機器向けの部品調達にも影響が及んでいる。

同社がサプライヤーから受けた説明では、現在のメモリー消費量は新型コロナウイルス感染拡大期の供給不足ピーク時と比較して約60%増加しているという。

さらに、現在の需要は供給能力を約30%上回っているとされる。

Blackmagic Designはこれまで、過去に調達した部品在庫を活用することで製品価格を維持してきた。しかし、低価格で仕入れた在庫が減少し、現在の高騰した価格で調達した部品への切り替えが進んだことで、コスト上昇を吸収しきれなくなったとしている。

特に、ネットワークを介して非圧縮映像や音声を伝送するSMPTE ST 2110対応製品では、大容量メモリーを必要とすることから影響が顕著だという。

ATEM Mini Proは約27%、Extreme ISO G2は約55%値上げ

今回の価格改定で、個人の映像クリエイターや中小規模の配信事業者に最も身近なのがATEMシリーズだ。

Blackmagic DesignのATEM Miniシリーズは、複数のHDMI映像入力を切り替えながらライブ配信や収録を行えるビデオスイッチャーとして、YouTube配信、企業イベント、セミナー、教育現場などで利用されている。

今回の価格改定では、以下の製品が対象となった。

ATEMシリーズの新旧価格比較

製品名旧価格新価格上昇率
ATEM Mini Pro$310$395約27.4%
ATEM Mini Extreme ISO G2$1,995$3,090約54.9%
ATEM 1 M/E Constellation 4K$1,895$2,840約49.9%
ATEM 2 M/E Constellation 4K$4,415$5,025約13.8%
ATEM 4 M/E Constellation IP$7,995$10,845約35.6%
ATEM 4 M/E Constellation IP Plus$12,995$19,960約53.6%
ATEM Television Studio HD8 ISO$2,995$3,235約8.0%
ATEM Television Studio 4K8$4,995$5,855約17.2%

※価格はBlackmagic Design発表の米ドル建て価格。現地税・関税などは含まない。上昇率は発表価格から算出。

ATEM Mini Extreme ISO G2は1,095ドルの値上げ

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特に大幅な値上げとなったのが、ATEM Mini Extreme ISO G2だ。

従来の1,995ドルから3,090ドルへと改定され、値上げ額は1,095ドル、上昇率は約54.9%に達する。

同製品は、複数カメラを使用したライブ配信やISO収録を必要とする映像制作現場を想定したスイッチャーだ。

ISO収録では、各カメラの映像を個別に記録できるため、配信終了後にカメラアングルを変更したり、DaVinci Resolveで編集し直したりするワークフローに適している。

ライブ配信と収録を同時に行う制作現場では、こうした機能が作業効率に直結する。

そのため、約55%という価格上昇は、新規導入だけでなく予備機や追加設備の購入を検討する事業者にも大きな影響を与えそうだ。

ATEM Mini Proも値上げ。小規模配信への影響は?

ATEM Mini Proは310ドルから395ドルへ改定され、85ドルの値上げとなった。

上昇率は約27.4%だ。

ATEM Mini Proは、4系統のHDMI入力を備え、ライブスイッチングや配信、USBディスクへの収録などに対応するモデル。

個人クリエイターから企業の配信担当者まで幅広く利用されており、ATEMシリーズの中でも導入しやすい製品の1つとなっている。

今回の改定によって、小規模なライブ配信システムの構築コストも上昇する可能性がある。

なお、今回の公式値上げ対象リストには「ATEM Mini Pro ISO」や初代「ATEM Mini Extreme ISO」は含まれていない。

シリーズ全製品が一律に値上げされたわけではない点には注意したい。

HyperDeckシリーズも値上げ。4K Proは約14%上昇

映像収録・再生機器のHyperDeckシリーズも価格改定の対象となった。
HyperDeckは、放送局やイベント配信、映像制作スタジオなどで使用されるディスクレコーダーで、SDI映像の収録・再生などに対応する。

今回の対象製品は以下の3モデルだ。

製品名旧価格新価格上昇率
HyperDeck Studio HD Pro$1,020$1,090約6.9%
HyperDeck Studio 4K Pro$1,655$1,885約13.9%
HyperDeck ISO Recorder 100G$4,995$6,035約20.8%

中でも、HyperDeck ISO Recorder 100Gは1,040ドルの値上げとなった。

一方、HyperDeck Studio HD Proの上昇率は約6.9%で、ATEM Mini Extreme ISO G2などと比較すると値上げ幅は小さい。

製品によって価格上昇率に大きな差がある点も、今回の改定の特徴といえる。

なお、HyperDeckシリーズの全モデルが対象となったわけではなく、購入予定の製品が公式リストに含まれているか確認する必要がある。

Blackmagic Cloudシリーズも価格改定。ストレージ製品に影響

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ネットワークストレージ関連製品も値上げ対象となった。

Blackmagic Cloudシリーズは、複数の編集者がネットワーク経由で映像素材を共有するための製品群だ。

DaVinci ResolveやBlackmagic Cloudを利用した共同編集ワークフローとの親和性が高く、制作会社やポストプロダクション施設などで活用されている。

今回の改定価格は以下の通り。

製品名旧価格新価格上昇率
Blackmagic Cloud Pod$400$545約36.3%
Blackmagic Cloud Dock 2$575$700約21.7%
Blackmagic Cloud Store Mini 8TB$4,495$4,895約8.9%
Blackmagic Cloud Store Max 24TB$13,995$15,495約10.7%
Blackmagic Cloud Store Max 48TB$21,995$24,245約10.2%

特にBlackmagic Cloud Podは、400ドルから545ドルへと約36%の値上げとなった。
Cloud Podは、USB-C接続の外部ストレージをネットワーク共有できる比較的コンパクトな製品であり、小規模な制作環境でも導入しやすい。

一方、大容量ストレージ製品では値上げ率が約9〜11%にとどまるものの、製品単価が高いため値上げ額は大きい。

Blackmagic Cloud Store Max 48TBでは、2,250ドルの価格上昇となっている。

大容量の映像素材を日常的に扱う制作会社では、ストレージ設備の更新コストにも影響が及ぶ可能性がある。

SMPTE 2110関連機器では最大約80%の値上げ

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今回の値上げで、放送設備やIPベースの映像伝送システムに関わる事業者が注目すべきなのがSMPTE ST 2110対応機器だ。
SMPTE ST 2110は、映像・音声・補助データをIPネットワーク上で個別に伝送するための規格群である。

従来のSDIを中心としたシステムから、IPベースの制作・放送インフラへの移行を支える技術として採用が進んでいる。

今回の改定では、DeckLink IPシリーズやBlackmagic 2110 IP Converterシリーズなども対象となった。

代表的な製品の価格改定は以下の通り。

製品名旧価格新価格上昇率
DeckLink IP HD$345$450約30.4%
DeckLink IP HD Optical$370$580約56.8%
DeckLink IP 100G$1,495$1,795約20.1%
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3G$595$920約54.6%
Blackmagic 2110 IP UpDownCross 12G$565$955約69.0%
Blackmagic 2110 IP SDI to HDMI 12G$515$925約79.6%
Blackmagic UpDownCross 100G$2,435$3,600約47.8%

特にBlackmagic 2110 IP SDI to HDMI 12Gは、515ドルから925ドルへ改定され、約79.6%の値上げとなった。

これは今回の36製品の中でも、上昇率が特に大きい製品の1つだ。

Blackmagic Designは、SMPTE 2110対応製品では大量のメモリーを使用することから、コスト上昇の影響が大きいと説明している。

IPベースの放送設備を新規構築する場合、スイッチャー本体だけでなく、コンバーターやインターフェースカードなど周辺機器を含めた導入費用を再計算する必要がありそうだ。

なぜBlackmagic Designは今まで価格を維持できたのか

Blackmagic Designは、比較的手頃な価格でプロフェッショナル向けの映像制作機器を提供してきたメーカーとして知られている。

今回の発表では、これまで値上げを抑えられていた理由についても説明している。

同社によると、過去に購入した部品の在庫を利用することで、近年の部品価格高騰を製品価格に反映せずに済んでいたという。
しかし、以前の価格で調達した在庫が減少し、現在の高い調達価格で購入した部品への切り替えが進んだ。

その結果、メモリーを大量に使用する製品では、メーカー側でコスト上昇を吸収することが難しくなったとしている。

ペティCEOは、今後もより安価な部品の調達先を探し、調達コストが下がれば特別価格などを通じてユーザーに還元していく考えを示している。

ただし、将来的な値下げ時期について具体的な発表はない。

日本国内の販売価格はどうなる?既存注文は旧価格を維持

今回の価格改定は、2026年10月20日の発表時点から世界各国のBlackmagic Design販売店で適用される。
ただし、メーカーが公表した価格は米ドル建てであり、日本国内の税込販売価格とは異なる。

国内の実売価格は、為替レート、輸入コスト、流通経路、販売店の在庫状況などによって変動する可能性がある。

そのため、米ドル建ての値上げ率が、そのまま日本国内の販売価格に反映されるとは限らない。

購入を検討しているユーザーは、国内正規販売店の最新価格を確認しておきたい。

すでに注文済みの製品はどうなる?

Blackmagic Designは、今回の価格改定について、新規注文にのみ新価格を適用すると明言している。

すでに受注済みで、出荷待ちとなっている注文については、従来の価格で対応する方針だ。
ただし、国内の販売店を通じた注文については、注文確定状況や販売条件などを確認する必要がある。

また、販売店に残っている旧価格の在庫についても、実際の販売価格や販売条件は各店舗の案内を確認したい。

BlackmagicのカメラやDaVinci Resolveも値上げされる?

今回の発表で注意したいのが、値上げ対象の範囲だ。

Blackmagic Designのすべての製品が値上げされたわけではない。

公式に発表された36製品のリストには、Blackmagic Cinema CameraシリーズやPYXISシリーズなどのデジタルシネマカメラは含まれていない。
また、映像編集ソフトウェア「DaVinci Resolve Studio」も今回の値上げ対象リストには含まれていない。

したがって、現時点で今回の発表を根拠に、これらの製品まで値上げされたと判断することはできない。
一方、今回の値上げ理由となったメモリー価格の高騰が今後も続く場合、映像制作機器全体のコスト構造に影響が広がる可能性はある。

ただし、他製品の追加値上げについて、Blackmagic Designが正式発表したわけではない点は明確に区別しておきたい。

まとめ:AI需要の拡大が映像制作機材の価格にも波及

Blackmagic Designが発表した36製品の値上げは、生成AIの普及によるメモリー需要の拡大が、映像制作業界にも影響を及ぼしていることを示す事例となった。

特に今回の価格改定では、ATEM Mini Extreme ISO G2が約55%、ATEM Mini Proが約27%、一部のSMPTE 2110関連機器では約80%の値上げとなっている。
ライブ配信やマルチカメラ収録、映像素材の共有などを日常的に行う制作現場にとって、機材の新規導入や更新費用の増加は無視できない問題だ。

一方で、既存の受注残には旧価格が適用されるほか、今回の改定対象に含まれない製品も存在する。
映像制作者や配信事業者は、購入予定の製品が値上げ対象かどうかを確認し、国内の実売価格を比較したうえで設備投資を判断することが重要となる。

AIの進化を支える半導体需要が、映像制作機器の価格にどこまで影響を及ぼすのか。

今後のメモリー市場の動向と、Blackmagic Designの価格戦略に引き続き注目したい。

出典: Blackmagic Design公式プレスリリース「Blackmagic Design Announces Price Increases Due to Rising Memory Costs」(2026年10月20日)

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