- 2026年6月12日
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ソニーは2026年10月15日、映像クリエイター向けの新型ワイヤレスマイクロホン「ECM-W5」を発表した。2026年11月20日より発売し、メーカー希望小売価格は59,400円(税込)。注文受付は10月21日10時から開始される。
ECM-W5は、2台のワイヤレストランスミッターと1台のレシーバーを組み合わせたワイヤレスマイクシステム。32bit float音声記録、96kHz/24bitのハイレゾ録音、見通し最大500mのワイヤレス伝送、最大4ch収録に対応する。
さらに、トランスミッターにはそれぞれ64GBの内蔵メモリーを搭載。対応するソニー製カメラでは、マルチインターフェース(MI)シューを経由して32bit float音声を直接記録できるほか、タイムコード同期やBluetooth LE Audio対応ヘッドホンによるワイヤレスモニタリングなど、収録から編集までのワークフローを効率化する機能が盛り込まれている。
従来の「ECM-W3」からワイヤレス伝送の安定性を高めるとともに、複数人のインタビュー、ドキュメンタリー撮影、ライブ配信、イベント収録など、幅広い制作現場を想定したモデルとなっている。
32bit floatと96kHz/24bitのハイレゾ録音に対応
ECM-W5の大きな特徴が、32bit float音声記録と96kHz/24bitの高音質収録に対応した点だ。
32bit floatは、通常の整数PCM記録と比較して非常に広い数値上のダイナミックレンジを扱える音声記録形式。適切な録音経路と組み合わせることで、収録時のレベル設定に余裕を持たせ、ポストプロダクションで音量を調整しやすくなる。
例えば、インタビューの最中に話者が突然大きな声を出した場合や、イベント収録で予想以上に音圧が上がった場合でも、32bit float収録は音声レベルの変動に柔軟に対応できる。
ただし、32bit floatであればマイクの物理的な入力限界やアナログ段階でのクリッピングまで修復できるわけではない。収録システム全体の性能や入力条件が音質に影響する点には注意が必要だ。
また、96kHz/24bitでの収録は、48kHz収録と比較して高いサンプリング周波数を使用することで、より高い周波数帯域まで扱える。
なお、ECM-W5では32bit float音声記録は48kHz時のみ利用可能。96kHz/24bitと96kHz/32bit floatを同時に選択できるわけではない。
入力ゲインは自動調整の「Auto」と、-12〜+12の範囲で設定できる「Manual」に対応。ノイズカットやローカット機能も備え、撮影環境に応じた音声コントロールが可能だ。
MIシュー経由で32bit float音声をカメラへ直接記録
対応するソニー製カメラとの組み合わせでは、MIシューを介したデジタル音声伝送に対応する。
これにより、レシーバーとカメラを3.5mmオーディオケーブルで接続することなく、32bit float音声をカメラ側へ直接記録できる。
対応機種では、映像と音声を1つの動画ファイルとして記録することが可能。音声を別のレコーダーで収録した場合に必要となる、編集時の同期作業を削減できる。
さらに、対応カメラでは音声を独立したWAVファイルとして同時記録する機能も利用できる。
収録後に音声だけをノイズ処理したり、音量調整やミキシングを行ったりする場合にも柔軟な運用が可能だ。
MIシュー経由での給電と電源連動にも対応しており、対応カメラからレシーバーへ電力を供給できる。
特にワンマンオペレーションでの撮影では、ケーブル接続やレシーバーのバッテリー管理といった作業が減ることで、映像制作そのものに集中しやすくなる。
ただし、32bit floatのカメラ直接記録、WAV同時記録、給電などの利用可否はカメラの機種によって異なる。購入前に対応状況を確認する必要がある。
見通し最大500mのワイヤレス伝送。ECM-W3比で通信安定性が約3倍に
ワイヤレス伝送では、ソニー独自の無線技術と最適化された設計により、見通し最大500mの通信距離を実現した。
また、電波が混雑する環境での通信安定性も改善。ソニーの社内測定では、従来モデル「ECM-W3」と比較して、約3倍の通信安定性を実現したという。
これは、ライブ配信やイベント収録など、撮り直しが難しい現場において注目したい進化といえる。
例えば、広いイベント会場で出演者が移動する場合や、カメラから離れた位置でインタビューを行う場合、ワイヤレスマイクには音質だけでなく接続の安定性も求められる。
ECM-W5は低遅延伝送にも対応しており、映像と音声のリアルタイム性が重要となるライブ配信での利用も想定されている。
なお、最大500mはトランスミッターとレシーバーの間に障害物がない見通し環境での目安。人体、建物、金属構造物、周辺の電波状況などによって実際の通信可能距離は変化する。
500m離れた場所でも常に安定した通信が保証されるわけではないため、実際の制作現場では事前の電波チェックが重要となる。
トランスミッターに64GBメモリーを内蔵。バックアップ録音にも対応
ECM-W5のトランスミッターには、それぞれ64GBの内蔵メモリーが搭載されている。
カメラへのワイヤレス伝送と並行してトランスミッター本体に音声を記録できるため、通信が途切れた場合でも音声データを確保しやすい。
これは、撮り直しが難しいインタビューや、イベントの記録映像を制作する際に有効な機能だ。
トランスミッター単体での録音にも対応しており、カメラから離れた場所で音声だけを収録するといった使い方もできる。
録音データは、USB Type-C接続によってトランスミッター本体、または充電ケース経由でPCへ転送可能。収録した素材を編集環境に取り込める。
別体レコーダーを追加することなく、ワイヤレス伝送と本体バックアップ録音を組み合わせられる点は、ECM-W5の実用的な強みとなりそうだ。
最大4ch収録に対応。対談や複数人のインタビューにも活用
ECM-W5は最大4chの音声入力に対応している。
標準セットには2台のトランスミッターが付属するが、別売りのトランスミッター「ECM-W5T」や外部マイクを組み合わせることで、複数の音声ソースを収録できる。
例えば、2人の対談から複数人のインタビューに発展した場合でも、音声収録システムを拡張しやすい。
また、話者ごとに独立した音声チャンネルを確保できる構成では、編集時にそれぞれの声量を調整したり、特定のマイクに入った環境ノイズを処理したりできる。
最大4ch収録を利用する際は、トランスミッターの追加台数や外部マイクの組み合わせ、カメラ側の対応状況を確認する必要がある。
YouTubeの対談動画、企業インタビュー、イベントの記録撮影など、出演人数に応じて音声システムを柔軟に構築したいクリエイターにとって、有力な選択肢となる。
タイムコード同期に対応。マルチカメラ収録の編集効率を向上
ECM-W5はタイムコード同期にも対応している。
タイムコード信号を外部機器へ出力でき、複数台のカメラを使用した撮影で映像と音声の同期を効率化する。
また、「USB SYNC」モードでは、対応するソニー製カメラとUSB Type-Cケーブルで接続するだけでタイムコードを同期できる。
この機能を活用することで、ECM-W5をタイムコードジェネレーターとして使用することも可能だ。
例えば、複数のカメラで収録したインタビューやイベント映像をDaVinci Resolveなどの編集ソフトに取り込む際、タイムコードを基準に素材を整理・同期できれば、編集作業の負担を軽減できる。
ただし、2026年10月の発表時点で、USB SYNCモードによるタイムコード同期に対応するソニー製カメラは「FX5」のみと案内されている。
タイムコード同期機能の利用には、接続方法や対応するカメラ・機器の確認が必要だ。
ソニー製ワイヤレスヘッドホンで音声モニタリング。バイノーラル録音も
ECM-W5では、Bluetooth LE Audioに対応したソニー製ワイヤレスヘッドホンとの連携機能も用意されている。
対応するヘッドホンを使用することで、ケーブルを接続することなく収録音声をモニタリングできる。
撮影中の音声チェックにおいて、ヘッドホンケーブルの取り回しを気にする必要がなくなるため、カメラの移動や機材の設置が多い撮影現場でも活用が期待できる。
さらに、対応ヘッドホンに搭載されたマイクを利用した音声収録にも対応。ヘッドホンで収音した音声をレシーバーで受信し、カメラへ記録することができる。
バイノーラル録音にも対応しており、左右の耳の位置関係を利用した立体的な音声記録が可能。周囲の環境音や空間の広がりを収録することで、視聴者に現場の臨場感を伝えられる。
Vlogや旅行動画だけでなく、ドキュメンタリー映像や空間音響を重視したコンテンツ制作でも活用の幅が広がりそうだ。
なお、ソニー製ワイヤレスヘッドホンを利用する際は、音声モニタリングとヘッドホンのマイク機能を同時に使用することはできず、いずれかを選択する必要がある。また、すべてのソニー製ワイヤレスヘッドホンに対応するわけではない。
シリーズ初のAMOLEDディスプレイを搭載。操作性も向上
ECM-W5では、ECM-Wシリーズとして初めてAMOLED(有機EL)ディスプレイを採用した。
従来のワイヤレスマイクでは、限られた表示領域や物理ボタンによる設定操作が中心となる製品も多かったが、ECM-W5ではタッチパネルとコントロールホイールを組み合わせた操作インターフェースを採用している。
高コントラストな画面表示によって、録音状態や各種設定を確認しやすく、直射日光の影響を受けやすい屋外撮影でも操作性の向上が期待できる。
トランスミッターは小型で目立ちにくいデザインを採用。クリップやマグネットによる装着に対応しており、出演者の衣服や撮影スタイルに合わせて取り付け方法を選択できる。
縦型デザインを生かしてハンドヘルドマイクのように使用できるほか、トランスミッターとレシーバーには3.5mmモノラル外部マイク入力端子も搭載する。
別売りのラベリアマイク「ECM-L1」などを接続することで、マイク本体を衣服の内側やポケットに隠しながら、目立たない形で音声を収録する運用も可能となっている。
最大11時間駆動。スマートフォンやPCへのUSB接続にも対応
ECM-W5は、トランスミッターとレシーバーそれぞれが満充電時に最大7時間の連続使用に対応する。
付属の充電ケースを活用することで、最大11時間の長時間運用にも対応。長時間の撮影やイベント収録でも使用しやすい設計となっている。
また、付属のUSB Type-Cアダプターを使用することで、スマートフォンやPCへの接続にも対応する。
USB Audio Class 2.0に対応した機器と組み合わせることで、外部マイクとして音声を入力でき、32bit float音声記録にも対応する。
これにより、ミラーレスカメラだけでなく、スマートフォンを使用した動画制作やPCでの音声収録、ポッドキャスト制作などにも活用できる。
ただし、スマートフォンやPCとの接続では、使用する機器やアプリケーションによって対応する録音形式や機能が異なる場合がある。
防塵・防滴にも配慮した設計を採用しているものの、完全防水・完全防塵ではないため、雨天や粉塵の多い現場で使用する際は注意が必要だ。
ECM-W5の主な仕様
| 項目 | 仕様 |
| 製品名 | Sony ECM-W5 |
| 製品構成 | トランスミッター2台+レシーバー1台 |
| 音声記録 | 32bit float / 48kHz、24bit / 96kHz |
| 最大入力チャンネル | 4ch |
| ワイヤレス伝送距離 | 最大500m(見通し環境) |
| 内蔵ストレージ | 各トランスミッター64GB |
| 外部マイク入力 | 3.5mmモノラル端子 |
| 音声モニタリング | 対応ソニー製Bluetooth LE Audioヘッドホン |
| ディスプレイ | AMOLED |
| タイムコード同期 | 対応 |
| 外部接続 | USB Type-C、対応カメラのMIシュー |
| 連続使用時間 | 最大7時間 |
| 充電ケース併用 | 最大11時間 |
| 防塵・防滴 | 配慮した設計 |
| 発売日 | 2026年11月20日 |
| 希望小売価格 | 59,400円(税込) |
出典:ソニー公式製品情報。記録形式や各種機能は接続機器・設定によって利用条件が異なる。
価格は59,400円。トランスミッターとレシーバーの単体販売も
ECM-W5は、トランスミッター2台とレシーバー1台、充電ケースなどを組み合わせたセットモデルとして販売される。
また、追加のトランスミッターやレシーバーを必要とするクリエイター向けに、それぞれの単体モデルも用意される。
| 製品名 | 希望小売価格(税込) |
| ECM-W5(セット) | 59,400円 |
| ECM-W5R(レシーバー) | 29,150円 |
| ECM-W5T(トランスミッター) | 18,700円 |
3製品とも2026年11月20日に発売予定で、10月21日10時より注文受付が開始される。
ソニー「ECM-W5」は映像制作の音声収録をどう変えるのか
ECM-W5は、従来の小型ワイヤレスマイクに求められてきた携帯性や手軽さに加え、プロフェッショナルな映像制作で重要となる音声品質、収録の信頼性、編集ワークフローとの連携を強化したモデルといえる。
特に注目したいのは、32bit float記録や64GB内蔵メモリーといった機能だけでなく、それらを対応するソニー製カメラとのデジタル音声接続に統合した点だ。
通常、外部レコーダーを使った32bit float収録では、収録後に映像と音声を同期する工程が発生する。しかしECM-W5では、対応カメラのMIシューを介して直接記録することで、収録時の音声レベル管理から編集時の同期作業までを効率化できる。
また、タイムコード同期や最大4ch収録への対応により、対談やインタビューだけでなく、複数のカメラを使用するイベント収録などにも対応できる柔軟性を備えている。
一方で、MIシューを利用した機能は対応するソニー製カメラが前提となるため、Blackmagic Designやキヤノン、パナソニックなど、他社製カメラを中心に使用する制作環境では、そのメリットをすべて享受できるわけではない。
他社製カメラを利用する場合は、利用可能な音声出力方法や記録形式、タイムコード連携の条件を個別に確認する必要がある。
ECM-W5の価値は、単なるワイヤレスマイクとしてのスペックだけでなく、撮影からポストプロダクションまでの作業をどこまで効率化できるかにある。
ワンマンオペレーションでのYouTube制作から、複数人のインタビュー、イベントの記録撮影、ライブ配信まで、幅広い現場でその実力が注目される製品となりそうだ。
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