【DJI SDR Transmission 2正式発表】4K/60fps・最大4km対応、送受信一体型に進化

この記事は約 10 分で読めます
この記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれています。 詳しくはこちら

DJIが、映像制作向けワイヤレス映像伝送システムの新モデル「DJI SDR Transmission 2」を正式発表した。

2026年9月1日に中国で発表されたDJI SDR Transmission 2は、従来モデルから映像伝送性能を大幅に強化。DCI 4K/60fps、10-bit HDR、H.265、最大50Mbpsの映像伝送に対応し、伝送距離は最大4kmへ拡大した。

さらに注目したいのが、これまで分かれていた送信機と受信機の役割を1台に統合した「送受信一体型」設計だ。

1台の送信側から最大8台の受信側をコントロールできるほか、大規模な撮影現場では最大5送信+40受信というマルチカメラ環境にも対応する。映像制作会社や撮影チームにとって、単なる初代の性能向上版ではなく、ワイヤレス映像伝送の運用そのものを変える可能性を持ったモデルとなっている。

なお、2026年9月2日現在、日本向けの正式発表および国内販売価格は確認できていない。 本記事では、中国で正式発表された情報をもとにDJI SDR Transmission 2の特徴を詳しく見ていく。

DJI SDR Transmission 2が中国で正式発表

DJIは2026年9月1日、新世代のワイヤレス映像伝送システム「DJI SDR Transmission 2」を中国市場で正式発表した。

初代DJI SDR Transmissionは2024年7月に登場。比較的コンパクトかつ手頃なシステムながら、SDR方式による安定した伝送、1080p/60fps、最大20Mbps、USB-Cによるスマートフォン・タブレット監視などに対応し、小規模な映像制作現場でも導入しやすいワイヤレス伝送システムとして展開されてきた。日本向け初代モデルではMIC規格で最大2km、FCC環境では最大3kmの伝送距離が公称されている。

その第2世代となるSDR Transmission 2では、画質・伝送距離・マルチカメラ運用・拡張性のほぼすべてが強化された。

特に、これまでフルHDだった映像伝送が一気にDCI 4K/60fpsへ引き上げられた点は大きい。

最大の進化はDCI 4K/60fps。10-bit HDRにも対応

DJI SDR Transmission 2では、DCI 4K/60fpsの映像伝送に対応する。

さらに10-bit HDRとH.265にも対応し、最大エンコードビットレートは50Mbps

初代DJI SDR Transmissionは1080p/60fps、H.264、最大20Mbpsだったため、モニタリング映像の情報量は大幅に強化されたことになる。

単純に「4Kで見られるようになった」というだけではない。

10-bit HDRに対応したことで、明暗差の大きな撮影環境でもハイライトやシャドウの状態をより把握しやすくなる。LOG撮影やHDRを前提とした映像制作では、ピントだけでなく露出や色の判断材料としてモニター映像を使用するケースも多い。

現場で確認できる映像そのものの品質が上がることは、撮影判断の精度向上にも直結する。

また、高画質化しながら伝送遅延については最低35msとされている。フォーカス操作やジンバル操作ではわずかな遅延でも違和感につながるだけに、高画質化と低遅延を両立している点はSDR Transmission 2の大きな特徴になりそうだ。

最大4kmの長距離伝送に対応

新世代SDR技術によって、SDR Transmission 2の映像伝送距離は最大4kmまで拡大した。

DJIの中国向け発表では、前世代比で伝送距離を60%向上したとしている。

4kmという距離だけを見ると、一般的なスタジオ撮影ではオーバースペックにも感じられる。

しかし、実際の撮影現場では「何km飛ばせるか」以上に、距離に余裕があるシステムほど遮蔽物や電波干渉のある環境で安定性を確保しやすいことが重要になる。

大型イベント、スポーツ、ライブ撮影、車載撮影、森林・山間部での撮影など、カメラとスタッフの位置が大きく離れる現場では特にメリットが大きい。

ただし、ワイヤレス機器の実際の利用可能周波数や最大伝送距離は国・地域の電波規格によって異なる。中国で発表された「最大4km」という数値が、そのまま日本仕様に適用されるとは限らない点には注意したい。

送信機と受信機を統合。1台をTX/RXどちらにも使える

SDR Transmission 2でもうひとつ大きく変わったのが、本体設計だ。

初代は「Transmitter」と「Receiver」がそれぞれ別の機器として販売されていた。

これに対してSDR Transmission 2では、同一のトランシーバーを送信側・受信側のどちらにも設定できる「送受信一体型」設計を採用した。

本体の物理スイッチによって送受信の役割を切り替えられる。

この変更は、スペック表以上に実際の撮影現場への恩恵が大きい。

例えば6台を所有していた場合、ある現場では「2送信+4受信」、別の現場では「1送信+5受信」といったように、撮影規模に応じて機材構成を柔軟に変更できる。

従来のように「送信機だけ余っている」「受信機が1台足りない」といった状況も減らしやすい。

予備機もTX用・RX用と分けて準備する必要がないため、映像制作会社やレンタル会社にとって機材の稼働率を高めやすい設計と言えるだろう。

1台から最大8台をコントロール。

SDR Transmission 2はマルチカメラ環境への対応も大幅に強化されている。

新モデルでは、1台の送信側から最大8台の受信側を接続でき、それぞれの受信側からアップリンクによるコントロールが可能とされている。

つまり、監督、撮影監督、フォーカスプラー、カメラオペレーターなど、それぞれが映像を確認しながら撮影システムにアクセスするようなワークフローを構築しやすくなる。

さらに大規模な環境では、最大5台の送信側+40台の受信側を同時運用できるという。

初代SDR Transmissionではコントロールモード時に送信機1台につき最大2台の受信機を接続する仕様だったため、SDR Transmission 2は明確にマルチカメラ・チーム撮影を意識したシステムへ進化したことが分かる。

「自動チャンネル2.0」で複数台運用を効率化

複数台のワイヤレス機器を同じ現場で使用すると問題になりやすいのが、周波数帯の競合だ。

特に映像伝送だけでなく、ワイヤレスマイク、インカム、Wi-Fi、スマートフォンなど大量の無線機器が動作するイベント会場やスタジオでは、周波数管理が重要になる。

SDR Transmission 2では、新たに「自動チャンネル2.0」を採用。

複数のSDR Transmission 2同士が認識し、使用する周波数帯をインテリジェントに調整することで、複数台運用時のチャンネル設定を効率化する。

さらにスキャン機能やチャンネル競合診断にも対応し、周囲の無線環境に応じて自動的に周波数を切り替える仕組みが用意されている。

ライブ配信や大型イベントなど、撮影前に大量のワイヤレス機器をセットアップする現場ほど恩恵の大きい機能になりそうだ。

約136gの小型ボディ。ジンバル運用にも向く

高性能化した一方で、本体は大型化していない。

SDR Transmission 2の重量は約136g。本体サイズは約76×61×25mmと報じられている。

初代SDR Transmissionはアンテナ込み約145gだったため、機能を大幅に強化しながら軽量化も実現した格好だ。

ジンバルへワイヤレス伝送機を搭載する場合、数十gの違いでもバランスや総重量に影響する。

約136gという重量なら、ミラーレス+RSシリーズ+SDR Transmission 2という小型撮影システムも組みやすい。

ワンオペや少人数の映像制作チームにとっては、この「性能の割に小さい」という点も重要な魅力になるだろう。

本体はHDMI+USB-C。SDIは拡張ボードで追加

本体には、HDMI映像端子×1とUSB-C×2を搭載する。

一方で、本体単体には初代にあったSDI端子を搭載せず、必要に応じて拡張ボードを追加するモジュール式へ変更された。

拡張ボードを装着すると、SDI×1、HDMI×1、USB-C×4を追加可能。

さらにARRIやREDなどのシネマカメラでSDIメタデータのパススルーにも対応するとされている。

小型ミラーレス中心のユーザーは軽量な本体のみ、SDIが必要なシネマカメラ環境では拡張ボードを追加する。

利用する撮影システムに合わせて必要なI/Oだけを追加する思想に変わったと考えると分かりやすい。

DJI RSシリーズとの連携もさらに強化

SDR Transmission 2は単体のワイヤレス映像伝送機ではなく、DJIの撮影エコシステムとの連携も重視されている。

DJI RSシリーズと組み合わせることで、アプリからジンバルをワイヤレス制御できるほか、体感操作、バーチャルジョイスティック、ジンバルのセンタリングなどに対応。

対応カメラと接続した場合は、録画開始・停止などの遠隔操作も可能になる。

さらにプロフェッショナル環境では、DJI Ronin 2やDJI Master Wheelsとの連携にも対応する。

車載撮影やクレーン、ジブ、遠隔カメラなど、カメラ本体から離れた位置でモニタリングしながらカメラワークを行う撮影でも活用できる。

Osmo Action・Osmo PocketシリーズもUSB-C接続可能

興味深いのが、一般的なミラーレスカメラやシネマカメラだけを対象にしていない点だ。

SDR Transmission 2ではUSB-Cを利用して、Osmo ActionシリーズやOsmo Pocketシリーズから映像を入力する構成にも対応するとされている。

小型カメラを車内、狭い場所、特殊なアングルなどに設置し、その映像を離れた場所からリアルタイムで確認するといった使い方が考えられる。

大型シネマカメラから小型Osmoシリーズまでをひとつの伝送環境へ取り込めるのであれば、DJI SDR Transmission 2は単なるカメラ用ワイヤレスモニターではなく、撮影現場全体をつなぐハブに近い存在になっていくかもしれない。

DJI SDR Transmission 2と初代の違い

主な違いを整理すると以下の通りだ。初代については日本公式仕様、SDR Transmission 2については2026年9月1日の中国発表内容を基準としているため、伝送距離などは地域ごとの電波規格によって異なる可能性がある。

項目DJI SDR Transmission 2DJI SDR Transmission
送受信機送受信一体型送信機・受信機が別
最大映像伝送DCI 4K/60fps1080p/60fps
カラー10-bit HDR
コーデックH.265H.264
最大ビットレート50Mbps20Mbps
最低遅延35ms35ms
最大伝送距離最大4km(中国発表値)最大3km(FCC)/2km(MIC)
受信側接続1送信から最大8受信をコントロールコントロールモードで最大2受信
大規模運用最大5送信+40受信推奨最大3カメラ
本体重量約136g約145g
本体端子HDMI×1、USB-C×2送信・受信それぞれHDMI/SDI/USB-Cなど
SDI拡張ボードで対応本体に搭載

こうして比較すると、今回のモデルチェンジで特に大きいのは「1080pから4Kへ」「最大20Mbpsから50Mbpsへ」「送受信機の統合」「マルチカメラ対応の大幅強化」の4点だ。

初代の弱点を細かく改善したというより、SDR Transmissionという製品の立ち位置そのものを一段上へ引き上げたモデルチェンジと見る方が近い。

中国価格は1台1,999元。2台セットは3,499元

中国市場ではすでに価格も発表されている。

DJI SDR Transmission 2単体は1,999元。(日本円で約4万7000円前後)

SDR Transmission 2セットは3,499元(日本円で約8万3000円前後)、SDIやHDMIなどを追加できる拡張アクセサリーセットは999元(日本円で2万4000円前後)となっている。

単体パッケージには本体のほか、カメラ用コールドシューアダプター、NP-Fバッテリーアダプタープレート、USB-Cケーブルなどが含まれる。

送受信機が共通化されたため、必要に応じて単体を買い足してシステムを拡張しやすいのもポイントだ。

日本発売はいつ?現時点では正式発表なし

気になるのは日本での発売だ。

2026年9月2日現在、DJI日本公式サイトではSDR Transmission 2の日本向け正式発表を確認できていない。

日本公式では引き続き初代「DJI SDR Transmission」の製品・サポート情報が掲載されている。

ワイヤレス映像伝送システムは使用する周波数帯や送信出力が国ごとの電波法・認証に関係するため、中国モデルをそのまま日本国内で利用できるとは限らない。

そのため、日本で使用することを考えている場合は、国内向けモデルの正式発表と技術基準適合に関する情報を待つのが安全だ。

初代SDR Transmissionも日本で展開されていることからSDR Transmission 2の国内投入にも期待したいが、現時点では日本発売日・価格ともに未発表としておきたい。

まとめ|SDR Transmission 2は「4K対応」以上に現場運用が変わる進化

DJI SDR Transmission 2は、初代モデルから大幅な進化を遂げた。

中でも目を引くのはDCI 4K/60fps、10-bit HDR、H.265、最大50Mbps、最大4kmという映像伝送性能だ。

しかし、実際の撮影現場でそれ以上に大きな意味を持ちそうなのが、送信機と受信機を1台に統合した設計と、最大8受信・最大5送信+40受信というマルチカメラ運用への対応だ。

少人数の撮影では2台だけを持ち出し、大規模案件では必要な台数を追加する。現場ごとにTXとRXの台数配分を変える。さらにRSシリーズやRonin 2、Osmoシリーズまで組み合わせる。

小規模な映像クリエイターから本格的な撮影チームまで、同じ機材をスケールさせながら使える。

これこそがSDR Transmission 2の最も興味深い部分だろう。

日本で正式発売された場合、初代DJI SDR Transmissionからの買い替えはもちろん、これまでワイヤレス映像伝送システムを導入していなかった少人数の映像制作チームにとっても、かなり魅力的な選択肢になりそうだ。

DJI SDR Transmission 2の日本発売日、国内価格、国内仕様については、正式発表があり次第追ってお伝えする。

掲載情報について

本記事は、RE EARTH TV編集部がメーカー公式サイト、公式発表、取材内容などの情報をもとに制作しています。
掲載内容は、記事の公開日または最終更新日時点で確認できた情報をもとにしています。
製品仕様、価格、在庫、キャンペーン、サービス内容などは予告なく変更される場合があります。
最新の製品情報や価格・在庫については、メーカー公式サイトまたは各販売ページをご確認ください。

掲載内容に誤りや変更点がございましたら、 お問い合わせフォームよりお知らせください。
内容を確認のうえ、必要に応じて修正いたします。

私がこの記事を書いたよ!

RE EARTH TV編集部

RE EARTH TV編集部です。 RE EARTH TVの各種情報全般をお届けします。

トップへ