- 2022年3月9日
【歓喜】Appleイベントの裏でひっそりと登場していた「ブラックな」モノ
RE EARTH TV編集部です。2022年3月9日、日本時間の深夜3時にAppleの新製品発表会が行われました! ……

RE EARTH TV編集部です。
「F1.2の世界を、もっと手軽に。」
初めてこのレンズを手にしたときに浮かんだ言葉がこれでした。
今回ご紹介する「RF45mm F1.2 STM」は、フルサイズ対応の大口径ながら全長約75mm、重量およそ346gというコンパクトな一本。
しかも価格はキヤノンオンラインショップで税込6万6,000円前後と、F1.2レンズとしてはかなり攻めた設定です。
プロ用Lレンズの「RF50mm F1.2 L USM」が約950gのヘビー級で、価格も30万円クラスなのを思うと、このレンズがどれだけ“持ち出しやすいF1.2”を狙っているかが分かります。
静止画はもちろん、YouTube撮影やVlog、インタビュー動画など「人」を撮るクリエイターにとって、45mmという画角とF1.2の組み合わせはかなり理想に近いバランスです。

真っ黒な箱に「RF 45mm F1.2 STM」の白いロゴだけが浮かぶパッケージ。
Lレンズの赤いラインはないけれど、ツヤのある黒がしっかり“RFシリーズの仲間”だと改めて意識されられるようなデザイン。
机に置いただけで、ちょっといい機材を買った日のワクワクを思い出すような外箱。

別面にはレンズ本体の写真。
45mmという焦点距離が刻まれた、シンプルで整ったシルエットがよく分かります。
「F1.2のレンズって、もっとゴツいはず」という先入観があると、この写真で一度裏切られるはず!
実物もそうですが、見た目の時点で「軽そう」「使いやすそう」という印象が伝わってきます。

箱を開けると保証書も同梱されています。
型番「RF45/1.2 STM」の文字を見ると、「本当にF1.2なんだよな…」とニヤけます。
保証書は機材管理上も大事なので、編集部ではこのタイミングで必ずスマホで撮影してクラウドに放り込んでいます。
現場でトラブルが起きたとき、意外とこの一枚の写真が助けてくれたりするんですよね。

箱を開けると、レンズは白い不織布でふんわり包まれています。
最近はプラスチックのトレイではなく、段ボールでしっかり固定するエコ寄りな梱包が増えてきましたが、このレンズもそのスタイル。
輸送中の安心感はちゃんとありつつ、無駄なものはそぎ落としている感じです。

レンズ本体を正面から。
ロゴもフォントも、他のRF無印レンズと同じトーンですが、鏡筒自体は太めの印象。

真上から覗き込むと、F1.2らしい大きな前玉と、きれいに整ったコントロールリング、フォーカスリングの配置が見えます。
前玉の大きさから「これはボケるぞ」と直感的に伝わってきます!
それでいて、手に持った感覚はそこまで重くない。
このアンバランスさが、RF45mm F1.2 STM の一番の魅力かもしれません。

コントロールリングにはISOや露出補正を割り当てると、動画撮影時の操作がかなり楽になります。
REC中でもファインダーから目を離さずに露出を微調整できるので、インタビューや商品撮影でじわっと明るさを追い込みたいときに重宝します。
鏡筒側面には「0.45m / 1.48ft – ∞」と最短撮影距離の表示。
0.45mという数値だけを見ると、最近の標準レンズと比べて寄れるタイプではありません。
ただ、実際の撮影では「テーブルフォト専用に極端に寄りたい」という場面でもなければ、特に不便は感じませんでした。
寄りよりも「人とのちょうどいい距離感」を優先した設計なんだろうなと感じます。

キャップを付けた状態での実測値は、およそ364g前後。
F1.2レンズのイメージからすると「本当にこの数字で合ってる?」と言いたくなる軽さです。
ジンバルに載せてもバランス調整が楽で、長回しの収録でも腕が悲鳴を上げにくい重さ。

キャップを外した状態で量ると、だいたい345g付近。
メーカー公称値の約346gともほぼ一致しています。
数字で見ると改めて、F1.2の中では異常な軽さ!
「RF50mm F1.2 L」の半分以下という事実を知ってしまうと、「だったらこっちをメインにしてみるか」と本気で考えたくなります。

前玉側から絞り羽根を覗いてみました。
9枚羽根の絞りで、円形に近い綺麗な開口部になっています。
ポートレートで背景の点光源をぼかしたとき、玉ボケがなめらかに丸く残ってくれるタイプ。
夜の街撮りやイルミネーションを撮るクリエイターには、かなり嬉しいポイントです。

マウント側はこんな感じ。
このレンズは「RF 45mm F1.2 STM」ということで、RFマウントレンズです。
EFマウントではないので、購入される際はお手持ちのカメラとマウントが合うか、事前に確認した方が確実です。
マウントにはしっかりした電気接点、外周には「MADE IN MALAYSIA」の刻印があります。
また、このレンズは防塵防滴には対応していません。
雨や砂埃が舞うような撮影現場よりも、スタジオ撮影や街スナップなど比較的落ち着いた環境向き。
とはいえ、マウントの作り自体はガッチリしていて、頻繁な付け外しにも安心感があります。

EOS Rに装着してみました。
ボディのグリップとレンズの太さのバランスが絶妙で、見た目からして「ちょうどいい」組み合わせ。
F1.2レンズにありがちな、フロントヘビーなアンバランスさはあまり感じません。

EOS Rのシンプルなボディデザインと、RFレンズの艶消しブラックがよく馴染んでいます。
見た目がスッキリしていると、クライアントワークの現場でカメラを構えたときの印象もかなり良くなります!
「大きなレンズだとお客さんが緊張する」という場面でも、これくらいのサイズ感なら柔らかい空気を保ちやすいと感じました。

実際に持ってみると分かりますが、45mmというわずかな広さが、50mmとは違う「抜けの良さ」を生み出してくれます。
テーブルと人物を一緒に入れたい場面や、背景の情報も少し多めに入れたいインタビュー撮影などで、「ちょうどいい」と感じることが多かったです。

グリップをしっかり握っても、レンズが前に倒れ込む感覚はほとんどなし。
手持ち動画でパンしたり、ローアングルからすっと構え直したりしても、バランスの良さが効いてきます。
ボディ側の手ブレ補正と組み合わせれば、簡易的なジンバルのような安定感すら出てきます。
レンズ鏡筒には「Canon 45」のロゴが刻印されています。
このさりげない数字が、撮影中にふと目に入るたび「今、自分はF1.2の45mmで撮っている」という高揚感が溢れ出てきます!
テンションが上がると、撮影そのものも自然と前のめりになりますよね。

こうして見ると、やはり前玉の存在感はかなりのもの。
それでもトータルのサイズはコンパクトに収まっているので、初心者からプロまで扱いやすいサイズ感。
ガラスの厚みとコーティングの反射が、いかにも“光をたっぷり飲み込みます”という雰囲気。
開放F1.2にすると、ファインダー越しの世界は肉眼とは別物になります。
背景がふわっと溶けて、被写体だけが立体的に浮き上がるあの感じは、このレンズならではの体験があります。

AF / MF 切り替えスイッチも搭載。
動画撮影時に「ここだけは確実にマニュアルで追い込みたい」というシーンも多いので、この物理スイッチは本当にありがたい存在です。
スチルから動画に切り替えながら撮るような日も、親指一本でAFとMFを即切り替えられる。
細かいポイントですが、クリエイター目線だとこういう操作性が作品の質に直結してきます。

防潮堤のコンクリートが、まるで額縁みたいに港を囲んでいるカット。
夕方の斜光が右側の壁だけを薄く染めていて、中央の小さな船列にそっと視線を誘導してくれます。
F1.2開放なので、奥の山肌や堤防はふわっと溶け気味。
ただ、完全に輪郭が消えるほどではなく、街並みの「気配」だけはちゃんと残ってくれました。45mmという画角らしい、ほどよい圧縮感と立体感の両立です。
コンクリート面のグラデーションもなかなかきれいで、シャドウ側にはRFらしい粘りがあります。
夕方のまだ光量が残っている時間帯なら、この設定でもハイライトは破綻しにくい印象でした。
船体の白も飛びすぎず、金属部分の質感もギリギリのところで踏みとどまってくれます。
こういう「画面の中央に主役を置かない」構図でも、F1.2の浅い被写界深度がしっかり効いてくれるので、映像クリエイターがロケ先のカット集を撮るときにも便利だと感じました。
背景をぼかしながらも、場所の情報はきちんと残したい。
そのわがままを、いいバランスで叶えてくれるレンズだと感じました。

波が階段に打ち寄せて、ぎりぎりのラインまで水が満ちているカットです。
F1.2開放ですが、ピントを置いた階段のエッジはしっかり残っていて、そのすぐ奥から水面の表情がゆるやかに溶けていきます。
おもしろいのは、水の「質感」の描写感です。
細かいさざ波の一枚一枚まではカリカリに描かず、ほんの少しだけベールをかけたような柔らかさが乗る。
そのおかげで、海面全体が一つのテクスチャとしてまとまってくれます。
動画のカットにすると、光の揺らぎがすごく気持ちいいタイプの描写です。
手前の階段は、コンクリートのざらっとした粒子感と、水たまりのヌメっとした反射が同居しています。
ここは解像感もコントラストもきっちり出ていて、F1.2だからといって全部がゆるくなるわけではない、と分かるような印象。
背景をふわっと流しつつ、手前の一部分だけに静かなリアリティを与えたいとき、このレンズの開放描写はかなりハマります。

手前のコンクリートの遊歩道にピントを置いて、奥に浄土ヶ浜の岩をぼかして配置した一枚です。
開放F1.2なので、波打ち際から数メートル先の岩までは一気にボケに入ります。
岩の形は分かるけれど、細かいディテールまでは描かない。
そのおかげで、写真全体にちょっと夢見心地な空気が流れます。
コンクリートのひび割れ・荒れ具合はしっかり解像していて、そのすぐ横で海水がふわっと溶けていく。
この「カリッ」と「トロッ」のギャップが、「RF45mm F1.2 STM」の描写の面白いところだと感じました。
動画のカットとしても、手前の質感を見せつつ背景はロケーションの雰囲気だけ残したいときにぴったりです!
45mmという画角も効いていて、岩をそこまで大きく引き寄せず、ほどよい距離感で写してくれます。
観光写真のように全部をクッキリ見せるのではなく、「ここにこんな景色が広がっているんだろうな」と想像させる余白を残せる。
それが、このレンズで風景を撮るときの楽しさのひとつです。

これまで開放F1.2の写真が続いたので、ここではぐっと絞ってF8。
浄土ヶ浜の入り江全体を写した、いわゆる“普通の風景写真”です。
海面の細かなさざ波、右側の断崖に生えた松の1本1本、奥の山肌のグラデーション。
画面の端までしっかり解像していて「あ、このレンズは止めればちゃんと真面目な描写もするんだな」と分かります。
コントラストも強すぎず弱すぎずで、RAW現像でハイライトを少し起こしてあげるだけで、夕方の空の色がきれいに出てくれました。
45mmという画角は、広角でも望遠でもない中間ポジション。
けれど実際にこうして撮ってみると、手前の海と奥の山並みを一枚にまとめるにはちょうどいい距離感です。
動画でパンするときも、背景が歪みすぎないので、落ち着いたカットを作りやすいと感じました。
F1.2のとろけるボケを楽しみつつ、いざとなったら風景もきっちり押さえられる。
ポートレート用の“沼レンズ”というより、1本でロケを回し切れるオールラウンダー寄りのF1.2だと、この作例を見て改めて思いました。

改めてまとめると、このレンズのポイントは大きく三つだと感じました。
一つ目は、F1.2の大口径なのに、とにかく軽くてコンパクトなこと。
二つ目は、価格設定が現実的で「いつかの夢」ではなく「今買えるF1.2」になっていること。
そして三つ目は、その二つを成立させるために、防塵防滴や近接撮影性能、諸収差の完璧さなど、あえて削った部分があるという素直さです。
完璧無比なLレンズとは少し違う、クセと表情を楽しむ一本。
だからこそ、作品づくりの中で「このレンズらしさ」をどう活かしていくかを考える余白があります。
・フルサイズのEOS Rシリーズで、ポートレートやVlog、インタビュー撮影をしている人
・RF50mm F1.8 STMから、そろそろ“もう一歩上の沼”に足を踏み入れてみたい人
・ジンバルや手持ち撮影が多く、機材は軽くしたいけれど、ボケは妥協したくない人
どれか一つでも当てはまるなら、RF45mm F1.2 STMはかなり有力な選択肢になります。
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